わたしの幼少期

わたしは生まれた時から、母だけに育てられました。父親は顔も名前もわからない。

 

1歳〜2歳までは祖母の家にいたと聞いています。

わたしがすこし記憶があるのは4歳?か3歳?ごろです。

 

わたしの母は比較的若いうちにわたしを生みました。

わたしの母は昔はよく酒を飲む人でした。

わたしは母に連れられて、よく居酒屋に行きました。

酔った母は、母というより一人の20代の女で、たまに悲しそうで、疲れていて、わたしはとても可哀想に思っていました。

  それでも母といることは幸せでした。

ある日酔った母はわたしには向かわずに、小さい声で言いました。

"こいつが生まれてなけりゃわたしは今頃正社員でいい立場につけていたのに。"

わたしはその時とても親が可哀想になりました。

薄々は気づいていました。母はとても無理をしている人でした。そんな日もあります。弱音を吐くのも人間です。母がわたしを愛してくれていることは知っていましたが、それも本音の一部だと知っていました。

 

居酒屋で酔った母はたまに吐いていました。

わたしは水をあげます。ハンカチもあげます。背中をさすります。親は泥酔していてほとんどわかっていないのだと思いました。酒にしか頼れないのだとわたしは知っていました。

たまに居酒屋の嘔吐物の掃除もしていました。

そんなことを店員にさせるのは可哀想だと思ったからです。

 

わたしはこの時は3歳か4歳くらいです。

わたしは泥酔した母親を背負うことはできないけれど、手をひっぱって、居酒屋から家まで連れて帰っていました。

 

そんなある日わたしはいつものように親の手を引いて帰って、床で寝た親に毛布をかけて、一緒に入って寝ようとしました。

ですがその日は違いました。わたしは親に、テレビで見たキスよりもっと深いキスをしようと思いました。お酒のにおいのする母の口は固く閉ざされて、わたしはベロをいれても歯があたるだけでした。その時わたしは親の顔にビニールをかぶせて殺そうと思いました。

 

でもそんなことはできずにわたしは何事もなかったように、母と一緒にクマの柄の小さいブランケットにくるまり寝ました。小さい頃の思い出です。